1. Google、新フロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表 まずサイバー防御の専門家に限定提供
- Googleは2026年9月30日、新しいフロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表しました。実務的なソフトウェア開発、法務や財務などの企業の知的業務、サイバーセキュリティ防御で最高水準の性能をうたっています。提供はまず、Googleの「Fairwind Program」を通じて信頼できるサイバー防御の担当者に限られます。
- 出力トークンの上限は従来の6万4,000から100万へ大きく引き上げられました。長期のソフトウェア開発を測るDeepSWE v1.1で77.9%を記録し、Vals Indexで首位、ZapierのAutomationBenchでも51.3%で1位としています。導入時の価格は100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルで、キャッシュされた入力は95%引きです。
- Googleは米国政府による公開前のモデル評価に参加しながら、提供範囲を段階的に広げる方針です。CNBCによると、悪用やプロンプトインジェクションなど4分野の安全対策を強化してから一般公開します。社内では、データセンター全体のメモリを300TiB以上削減する最適化などに使われています。
Sources: Google Blog · CNBC
2. DeepSeek、Huaweiの AI チップ向け開発ツールをオープンソースで公開
- 中国のDeepSeekは2026年9月30日、HuaweiのAIチップ「Ascend」向けのプログラミングツール一式をオープンソースで公開しました。WeChatの公式アカウントで発表し、Huaweiが開発を全面的に支援したとしています。
- 中心となるのは、AIチップ用のプログラミング言語「TileLang」です。NVIDIAのCUDAより簡単に扱えるとDeepSeekは説明しています。計算や、チップ間のデータ通信を担うライブラリも含まれ、Ascend 950を128基つないだ「スーパーノード」構成の最適化も両社で進めました。
- THE DECODERは、中国のAIチップの普及には、性能を引き出すソフトウェアが欠かせないと指摘しています。NVIDIAの強みはチップ設計だけでなく、CUDAで開発する世界約400万人の開発者にあるとされ、今回の公開はその壁を崩す試みと位置付けられます。
Sources: THE DECODER · The Cryptonomist
3. Google、AI OverviewsやGeminiの回答に記事が使われた約100の媒体へ対価を支払い
- The Informationの報道によると、Googleは、AI OverviewsやAI Mode、Geminiの回答に使ったコンテンツの対価を、約100のデジタル媒体に支払っています。試験的な取り組みとして、1年足らず前に始まりました。
- 支払額は、回答への貢献度に応じて決まります。中小のサイトでは数か月で1,000ドル未満にとどまる一方、年100万ドルを超える媒体もあります。アニメやゲームなど熱心なファンを持つ分野の媒体は、平均より多く受け取る傾向があるとされます。
- 参加する媒体は、Search Consoleで収益を確認できます。ただし、算出方法は明らかにされていません。支払いを辞退しても、AIの回答へのコンテンツ利用は止まりません。一部の大手媒体は、より高い条件を求めて参加を見送っています。
Sources: THE DECODER · AI Weekly
4. GitHub、複数モデルを組み合わせる「HydraFusion」をVS Codeでも提供
- GitHubは2026年9月30日、研究プレビューの「HydraFusion」をVisual Studio CodeとGitHub Copilotアプリでも使えるようにしました。これまではCopilot CLIだけで提供していました。
- HydraFusionは単一のモデルではなく、作業内容に応じて複数のモデルを使い分けます。1つのモデルで解く方法、軽いモデルの答えが基準に届かなければ強いモデルに引き継ぐ方法、別系統のモデルが下書きを点検して1回修正させる方法の3つから選びます。
- 対象はCopilot Pro、Pro+、Business、Enterpriseの利用者です。BusinessとEnterpriseでは、管理者がプレビュー機能を有効にする必要があります。今回の更新では、作業の各段階の進み具合も表示されるようになりました。
Sources: GitHub Changelog
5. Instagram、動画編集アプリ「Edits」にAIアシスタントを導入
- Instagramは2026年9月30日、CapCutに対抗する動画編集アプリ「Edits」に、対話型のAIアシスタントを導入しました。投稿の成果を分析し、一人ひとりに合わせた助言を返します。
- アシスタントは、フォロー数、再生数、動画の視聴維持率、いいね、シェアなどのデータを、コメントやInstagram上のトレンドと組み合わせて分析します。Editsの責任者は、分析はAIが担い、創作の判断はクリエイター自身が行うと説明しています。
- 一定の範囲までは無料で使え、より多く使うにはMeta Oneへの加入が必要です。The Vergeは、YouTubeも同様の分析機能を拡充しているとし、各社がクリエイターに投稿方法を直接指南する流れが強まっていると伝えています。
Sources: TechCrunch · The Verge
6. Google DeepMind、AIが設計したタンパク質に電子透かしを入れる「SynthID Bio」を発表
- Google DeepMindは2026年9月30日、電子透かし技術SynthIDを合成生物学に応用した「SynthID Bio」を発表しました。AIが設計したタンパク質の配列や立体構造に、目に見えない印を埋め込みます。手法はNature誌に掲載されました。
- 3種類の標的タンパク質を使った実験では、透かしを入れた設計も、入れない設計と同じ水準で標的に結合しました。立体構造の予測では、AlphaFold 3の一部を調整し、予測結果に透かしが入るようにしています。
- DNA合成の受託企業が注文を審査する際や、公開データベースでAIが作った配列を見分ける用途を想定しています。一方でNature誌は、別の設計ツールにかけ直せば透かしを消せる場合が多いとして、多層的な対策の1つと見るべきだという専門家の声を伝えています。
Sources: Google DeepMind · Nature
7. 東京地裁、声も「パブリシティ権」の保護対象と初判断 生成AIで声を模倣した動画の訴訟
- 東京地裁は2026年9月30日、声優の津田健次郎さんが、生成AIで自身の声を模倣した動画の削除をTikTokの運営会社に求めた訴訟で、請求を棄却しました。投稿者が動画をすでに削除しており、削除を求める利益が失われたと判断しました。
- 一方で判決は、人の声は肖像と同じく個人の人格の象徴だとして、声もパブリシティ権の保護対象になるとの初めての判断を示しました。無断で使えば権利の侵害になりうるとしています。
- 問題の動画は2024年7月から2025年9月にかけて180本以上投稿され、投稿者は月50万〜75万円の収入を得ていたと津田さん側は主張していました。法務省の有識者検討会も8月に、声もパブリシティ権などで保護されうるとの考えを示しています。
Sources: The Japan Times · 弁護士ドットコムニュース